2022年12月11日

シンウルトラマンのきつさは何に由来するのか

アマゾンプライムで「シンウルトラマン」を見た。
――いやー、きついっす。

セリフ回しがきついっす。

特に序盤中盤の長澤まさみの長尺セリフがきついっす。
シンゴジラのときは「切羽詰まった状況」の中で「カリカチュアライズされた官僚的なセリフ」をまくしたてるのがハマってたけど。
そういう文脈抜きで「オタクの早口」を「キャリアウーマン風」の女優にやらせるのがまーじできついっす。
で無駄に顔隠して「喋ってんの誰だよ」→「誰だよ」→「誰だよ」→「誰だよ!」→「まさみかよ!!」ってなる演出は一笑いは起こるんですけど、それを「掴み」にするのは弱いっす。まさみのキャラ立てる必要なんて微塵もないっす。

ってかまさみに限らず科特隊の喋り方が浮いてるせいで「ウルトラマン」として喋ってる神永の口調、セリフ、抑揚のおかしさが浮かび上がってこないんです。「地球人たち」と「宇宙人」のへんてこで違和感ありつつもコミカルな会話になるはずが、「なんか頭はいいらしいけど中二病」くらいの共感性羞恥しかない会話になっちゃっています。まさみさんちゃんと突っ込んでください。

で、ここまで尺使ってキャラ立てるんだから「まさみも宇宙人」かと思うじゃないっすか。
違うんすよね。なんかおっきくなっちゃうだけなんですよね。おっきくなること自体はおもしろいんだけど。ええ、そこはおもしろかったです。
ずっとおっきいままだったらよかったんですけど。戻っちゃうんですよね。「ミサトさんポジション」のヒロインに。

で別にウルトラマンのストーリーラインにミサトさんいらないんすよ。
初代ウルトラマンは私、全話見ました。ウルトラマンのバディはね、井出隊員なんです。
「ウルトラマンが倒せないゼットンを人類が創意工夫で倒す」→「人類を守る役目を終えたウルトラマンは星へ還る」というあの美しい最終回のアウトラインをこの映画もなぞってはいます。井出隊員ポジションの隊員も出てきます。

で、何しましたあのおかっぱ隊員。VR会議してなんか早口で説明しましたけど、そこに熱さありました?
なくはないです。でも足りませんよね。あのおかっぱ隊員キャラ立ってないから。
本来彼がバディとしてフューチャーされるべきところを、「まさみ=ミサト」に持っていかれているから!

はい。シンウルトラマンのきつさは何に由来するのか。まさみです。
でももうこれは好みの問題かもしれません。まさみじゃなくて福原遥だったらこの映画100点だったかもしれません。福原遥が巨大化したら100点だったと思います。好みの問題なんでしょう。


良いところももちろんたくさんあります。
バトルシーンは「巨大なものが戦っている」サイズ感が出ていたし、飛行の仕方やスペシウム光線のポーズなど変にアレンジ加えていないのが非常によいです。
怪獣のビジュアルもよく、特にゼットンの最終兵器な感じが素晴らしかったです。初代ウルトラマンのゼットンむしろちょっと可愛いですからね。のちに女体化されるのも無理がないくらい可愛いので。
メフィラスは単体では素晴らしかったけど偽ウルトラマンとやること被ってるのがちょっとね……。あの政治家がごたごたする流れ二回はいりません。くどいです。

シン仮面ライダーは果たしてどれほどのものか……。
全ては「ミサトさんポジ」がいるいない、いるとしたらその出来不出来にかかっていると言ってもよいでしょう。

posted by 雉やす at 00:11| Comment(0) | 映画レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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