サー・オルフェオ
アンシア・デイビス(著)
エロール・ル・カイン(絵)
ぽるぷ出版(2004)
"はるかなむかし、サー・オルフェオという王さまがおりました。勇敢で慈悲深く、竪琴の名手でもあったサー・オルフェオは、人びとにしたわれ、幸せに暮らしていました。ところがある日、愛する妃ヒュロディスを何者かに連れさられたサー・オルフェオは、竪琴だけを手に、城をあとにします…。中世のイギリスで吟遊詩人たちが語りつたえた壮麗な物語を、「イメージの魔術師」エロール・ル・カインが華麗な絵本にしました。 "
「サー・オルフェオ」は、ギリシャ神話の「オルフェウスの竪琴」を元に、中世英語で書かれた物語詩。
オルフェオは楽師ではなく竪琴が得意な王様になっていて、騎士道物語の影響がみられる。妃を攫うのは「宝石を繰り抜いた帽子をかぶった王」で、彼の国の民はみな眠りについている。はっきり冥府ともハデスともせず、「王対王」の図式に拘るところに時代の雰囲気が感じられる。訳者あとがきで書かれているように、ケルトの妖精の国の伝承の影響なんかもありそうだ。
ル・カインの絵は、オルフェオが放浪する場面で、くっきりした色合いの対比で四季を表している一枚が印象的。他の絵にはちらほら千花模様のような草の描き方も見られ、タペストリーの技法を意識してるのかなと思った。あまり遠近法を使っておらず(むしろ場面に合わせて自在に登場人物の体を歪ませている)、中世っぽい雰囲気がよく出ている。
眠りの国の王然り、アーサー王の剣に出てきたモルガナ然り、ル・カインの描く顔色の悪いキャラクターには迫力がある。
物語はオルフェウスのような悲劇的結末は迎えず、交わした約束は守られ、老臣と家来は王を見捨てない。まっすぐに道義心を称える素朴さが心地よい。
2014年02月24日
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