2021年05月28日

異邦人fusion/西澤保彦

異邦人fusion
西澤保彦
(集英社文庫:2005)

”タイムスリップした私は、父を救えるか!
23年前の夏、父は殺された。犯人は不明。父が殺される数日前にタイムスリップしてしまった私は、父を救うことができるのか? 親子の愛、姉弟の愛を切なく描く長篇ミステリ。(解説・菅 聡子)”

美人の姉はレズで、一回りくらい下の少女と一緒になるべく家を飛び出したのだが、父親の不審死(浜辺で殺された。引きずられたような跡はあるが足跡はない)をきっかけに実家に戻って不本意な結婚をした。義理の弟(従弟から養子に貰われた)である主人公は若い頃姉が好きだったんだけど姉だしレズだしどうにもならなくて、実家を継ぐこともなく学者になった。
――からのタイムスリップ。父が死ななければ姉は不本意な結婚をすることもなくレズを全うできるのではないかと考えた主人公は過去を変えるべく実家と姉の下宿先に向かう。

途中で犯人は分かるタイプの話なのだが、事が起きる前に解説役のレズ少女(姉の想い人)がほぼほぼ解説してしまうからおもしろみがない。しかしややこしいタイムスリップ設定の話だから、事件そのものは簡潔にしないとまとまらなさそうというのも分かる。叙述トリック風味に「一周目」を混ぜたりすることもやろうと思えばできるはずだし。

レズ少女のキャラ造形はなんかこう都合よすぎるというか、モロに狂言回しって感じがする。別にそんなにレズでもないし。主人公とやるし。
主人公は、同性愛を否定する立場の父に対して、姉への想いを貫くわけでもなく、むしろ姉とシンクロしてレズ少女の誘惑に乗りごっつぁんゴールをかましてしまう40歳。
それってどうなんと思うが姉とシンクロする心情描写がうまいこと行ってるおかげで読んでいる最中にそれほど違和感はない。美少女に誘惑されたらしょうがないんやなって。

逆にここで主人公のキャラがぶれたことによって殺人が回避できたのだろう。
「レズはあかん。子供作って普通に暮らせ」の父 VS 「レズでもええやん。当人たちの幸せを認めたれ」の主人公。
という本来の対立構造が、
「レズはあかん。子供作って普通に暮らせ」の父 VS 「レズでもええやん(なんかレズの間に入ってみたら意外と心地よかったわ)」
という方向にスリップしてしまったことによってなあなあになってしまったのだ。もはやタイムスリップというより性愛スリップである。

レズビアンが男性嫌悪という方向に向かず、姉も弟も誘惑ロリもみんなで助け合って老後を支えていこうというエピローグの読後感も悪くない。が、ここは読者によって好みが分かれるところだろう。
「百合の間に入ってはいけない派」と「百合の間に入りたい派」。後者の人間が読めば違和感なくおもしろく読めるだろう。もちろん私も後者である。


ラベル:西澤保彦
posted by 雉やす at 19:03| Comment(0) | 書評(ミステリー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月27日

羽衣伝説の記憶/島田荘司

羽衣伝説の記憶
島田荘司
(光文社文庫:1990年)
”警視庁捜査1課の吉敷竹史は、ふと入った画廊で作者のない“羽衣伝説”と題された彫金を目にした。これは、別れた妻・通子の作品では?妻への思いをかきたてられた吉敷は、ホステス殺しの真犯人を追いつつ訪れた伝説の地で、意外にも妻の出生の秘密に行きあたる。好評吉敷シリーズ異色の文庫書き下ろしラブ・ストーリー。”

あらすじで「ラブ・ストーリー」と開き直ってしまうくらいにはミステリー要素が薄い。
ただラブストーリーとしては面白い。
通子の謎めいたキャラ良し、見た目の描写良し、出会いのエピソード良し。いい意味でラノベ感覚で手軽に読み進めることができる。
ホステス殺しも話の枕というか、妻のところにたどり着くためのただのフックだけど変に膨らませてないから良し。第一容疑者の自供も男女の情に寄せていて読み味が良い。帝都衛星軌道もそうだけど島田荘司は題材を寄せていって雰囲気を作るのが良いね。短歌でいう「縁語」。いちいちかけたりはしない。
(※いちいちかけていくと清涼飲流水になってしまうよ。気を付けようね!)

で、話のオチとしてはプチ・憑き物落としという感じ。通子の呪いじみた暗い家庭の過去に推理で光を当てて憑き物を落とす。
いちおう物的証拠を残しているところは良し。
でもよく考えたらこれが書かれたの京極堂が出る前だからむしろ憑き物落としの「走り」なんだよなぁ。そういうとこは趣深い。要素要素良いところが多い作品。それ以上の意外性はないけれど気楽に読めて良し。

ラベル:島田荘司
posted by 雉やす at 02:10| Comment(0) | 書評(ミステリー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月23日

フィナンシェのY.S.C.Cトークンについて

フィナンシェというgumiホルダーなら誰もが知っているアプリがある。
逆にgumiホルダー以外誰も知らないから解説すると、
「個人や団体に対してトークンを発行して、それの値上がり値下がりでみんなで儲けようぜ」という、ちんまりした草トークンの集合アプリである。少し前渋谷のサッカーチームがやたら高騰して話題になったのをきっかけに俺のようなイナゴがわらわらと参加を始めたのだ。

で、そのタイミングで初期サポーターを募集していたY.S.C.C(横浜スポーツ&カルチャークラブ)にもずいぶんと資金が集まった。トータルで49,470,000円、1383名というなかなかの金額である。

イナゴなりに理由もあって、Y.S.C.CはJ3に所属しているのだがその中でも下位にいる。
今日の時点で7戦して1勝もしていないくらい弱い。
つまりはこれ以上下がりようがないので上がってくしかねーなというね。はい。そんなチーム買うなと言われたらそれまで。
でも天皇杯で流通経済大学相手に勝てるくらいの自力はあるし、この金で強化して強くなってほしい。――次戦は鹿島アントラーズという絶望トーナメント表だけどさ。

初日は高騰したけど今の値段は落ち着いている。湘南ベルマーレの実力差と比較するとまあ妥当な値段。むしろベルマーレに見直し買いが入ってるくらい。
初期サポーター勢はまだまだプラス。このアプリはかなり安いところ買っていかないとうま味がないから、初期サポーター案件に突っ込むか1円未満トークンの人を逆張りで買うかしか儲からんと思う。

フィナンシェ自体が今後バズるには
@他のスポーツチームもっと増やす。特に野球。
 女子野球でええから野球チーム引っ張ってきてほしい。というか阪神の女子チームあるやん。あれ引っ張ってきたら速攻でバズると思う。女子チームもフィナンシェも絶対にバズるからウィンウィンやで。

A五輪のメダリストないし日本代表レベル引っ張ってくる。
 マイナースポーツのマネタイズには打ってつけだから適当に話題になった選手引っこ抜けそうじゃない?

Bアイドル個人じゃなくてアイドルグループ引っ張ってくる。
 個人だとスキャンダルや引退で紙屑になるからグループまとめてトークンで売ってほしい。ねえgumiさんそのために乃木坂とパイプ作ってんでしょ? NFTとフィナンシェどっちからめるの? どっちも? 乃木フラもっと遅れてもいいからなんか新機軸出してよ!(強欲)。

――まあ誰でも思いつくようなことしか思いつけないけど。
誰でも思いつくことだからどれか一つくらい案件進んでますよね。期待してますよ。

posted by 雉やす at 17:03| Comment(0) | 株とかFXとか頑張るやつ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村